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あれから3カ月。
昼過ぎから急に降り出した雨。
傘を持ってきていなかった僕は、しょうがなくロッカーに置きっぱなしにしていた傘を出したんだ。
あの日、カナと入った傘。
あの日、カナが壊した傘。
こんな傘、さしたってささなくたって変わらないだろう。
だけどこんなもの、いつまでも置きっぱなしにしていたら、きっといつまでも前に進めない。
今日使って、捨ててしまおう。
カナへの想いを断ち切ろう。
雨に流してしまおう。
そう思っていたら。

「何、ぼんやりしてるの?」
気がつくと、『自称・天使』が後ろ手に手を組んで、小首をかしげて、僕を見ていた。
それは、カナがいつもしていた仕草だったから、僕の胸は痛んだ。
カナに似ていたから、カナと同じ仕草をするから、僕の胸からはぱんぱんに詰まったまま行き場を失っていたカナの記憶が溢れ出した。
それと一緒に、僕の瞳からも、行き場のなかった想いが溢れ出した。
そんな僕を見て、『自称・天使』は鼻の上にちょっとしわを寄せていたずらっぽく笑った。
「もうすぐ雨が止むね」
止むのか、この雨が。止むもんか、この雨は。
雨なんか、大嫌いだ。
雨なんか、死んでしまえ。
「傘」
『自称・天使』は壊れた傘の下で、羽をふぁさふぁさと動かした。
その羽はあまりに白くて、まるで天使の羽のようだった……あ、天使なんだっけ。
「入れてくれてありがと」
カナと同じ話し方をする。
あのときのカナと、全部が一緒だ。少し低い声も、話し方も、表情も。
全部がカナと同じなんだ。僕の作り出した幻は。
「お礼に、1個、いいことしたげるよ」
「何だよ」
そういえばずいぶん長い夢だ、と思う。
そろそろ覚めてもいいんじゃないか? 僕はありえないくらいずぶ濡れだ。
それに、カナのことを思い出しすぎた。
もしかしたら、僕の枕が涙で濡れて、そのせいでずぶ濡れの夢なんか見ているんだろうか。まさか、な。僕はそんなにセンチメンタルなタイプではない、はずだ。
「あっちに、虹が出る」
『自称・天使』が指をさす。細い指。強く握ったら折れてしまいそうなほど。
「虹の向こうに、キミが欲しいものが見えてくる」
「僕の欲しいものは……」
きっと手に入らない。言いかけた僕を途中でさえぎると、『自称・天使』はいたずらっぽくウィンクした。
「だいじょぶ、アタシ、天使なんだから」
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