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隣の席の男の子は、いつだってぼんやりしている。
休み時間も、友達と騒いでいるより、ひとりでぼんやり風に吹かれていることが多い。
授業中も時々うわのそらで、窓の外を眺めている。
何を見てるのかな。空の色? 雲の形? 時折、口元に浮かぶ微笑みは、何かを考えているせい?
私も、なんとなく窓の外に目を向ける。
空って、こんなに大きかったんだ。雲って、こんなにも形を変えるんだ。
見ていて飽きることはない。彼が微笑んでいるのがわかる気がする。だって、ホラ、あの雲の形、ドーナツみたいじゃない? おなかすいてきちゃう。
彼もそんなことを考えているんだろうか。
なんだか隣の席の男の子が、好ましく思えた。

今日も彼はぼんやりしている。
話しかける友達に相槌を打ちながら、窓の外に視線を走らせる。
いつか話しかけてみたいと思いながら、まだ話しかけられずにいるのは、時々彼がものすごく大人なんじゃないかと感じているせい。同じ年の男の子はみんな、子供っぽく感じるけど、なんだか彼は違う。ただぼんやりしているようにも見えるけど、何かほかの人とか違うものを見ているようにも見える。例えば、窓から入ってきた風にふと目を細める瞬間に、このひとは風を見ているんだ、と感じる。本当のところは知らない。訊いてみたい。
ふと、そのとき、彼の後ろ頭に、ちょっぴり寝癖があるのが目に入った。
それを見た瞬間。心の中に、何かが入った。

小さな棘がささっている。
ちくちくと痛む。
ちくちくちくちく。
私は病気ですか?

今日も雲は形を変える。
今日も彼はぼんやりと空を眺めている。
私もつられて空を見る。
今日の雲は重たい灰色で、なんだか気分が暗くなる。帰る頃には、きっと、雨。
雨はいやだなぁ。制服が湿っぽくなるし、気分も憂鬱になる。
あ、今日もドーナツ型の雲。
……違う? ドーナツじゃなくて、あれは。

精一杯の勇気で、放課後、彼の前に立つ。
「キミって、いっつもぼんやりしてるよね」
上ずりそうな声を抑えると、自分でも驚くほど低い声が出た。
そんな私を、きょとんとした顔で見ている彼を見ていたら、なんだかおかしくなってきた。案外、子供っぽい顔をするんだね。いつも横顔を見ていたから、知らなかった。
そんなことを考えたら少し笑うことができて、次の言葉がするすると出てきた。
「あのね、雨が降ってきちゃって」
いつも外見ているから、知っているよね。だけど、指先が震えそうだったから、力を入れて指をさす。
「もし傘、持ってるなら」
彼の視線が指先の方に移っていったから、ますます指先が震えそう。
「駅まで、入れてってくれない?」

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