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泣きじゃくって、足に力が入らない吉田佳奈を、なんとか家まで送り届けて、俺はぐちゃぐちゃに濡れたまま部屋に帰り、ベッドに倒れこんだ。
これから俺は、どうすればいいんだろう。
ただ、好きになっただけなのに。
好きになった女の子を、ただ苦しめただけなんて。
時間を巻き戻すことができるなら、俺はいい友達として、つかずはなれずの距離で彼女の笑顔を守ってあげることができたかもしれないのに。
いや、いい友達でなんかいつまでもいられない。限界だった。
俺には、あんなやり方しかできなかった。
それが、最悪のタイミングだったっていうだけだ。
目を閉じると浮かぶのは、甲斐の笑顔。
何もない表面だけの笑い。
どうして……終わらせてしまう?
耳をふさいでも聞こえてくる、吉田佳奈の嗚咽、甲斐への謝罪。
止まらない、ぐるぐると回っている。
俺が、何もかもを、壊してしまった。

寝不足のまま学校へ行くと、甲斐は机に突っ伏していた。泣きはらしたのか、赤い目をした吉田佳奈も、席から離れて友達と話していた。
席替えがあって、俺の席からは吉田佳奈も甲斐も見えなくなった。
少しだけほっとした。
だけど気になって、ときどき振り返ってしまう。
甲斐はほぼ1日、机に突っ伏していた。
吉田佳奈は、表面上は穏やかだった。
謝った方がいいのだろうか。
いや、謝れない。俺は恋をしただけだ。好きな子に好きだと言っただけ、悪いことはしていない。
だけど。
「吉田」
いつしか俺は、吉田佳奈の前に立っていた。
吉田佳奈は気まずそうに目を伏せる、が、気丈に笑顔をつくった。
「昨日はありがと、家まで送ってくれて」
頼む、頼むから笑わないでくれ。
吉田佳奈の空っぽな笑顔に、懺悔したい気持ちでいっぱいになる。
昨日の甲斐と同じような、表面に張り付いただけの笑顔。
そんな顔は見たくないんだ。
「俺……あれは誤解だって……言ってやろうか、甲斐に……」
吉田佳奈は首を横に振る。きっぱりと。
考えてみれば、ふたりが離れた方が俺にとってはチャンスなのに、こんな状況で俺はなんでお人よしなことを言っているのだろう。俺はばかだ。だけど、意地を張っている吉田佳奈もばかだし、本当のことを訊きに来る勇気のない甲斐はもっとばかだ。
ただの誤解、なのに。
でも、それを甲斐に伝えてやる必要があるか?
付き合っているわけではなかった。甲斐の想いは、俺が勝手に気付いただけだった。吉田佳奈の想いも、俺が勝手に気付いただけだ。想いあっていても、何もしていないじゃないか。そんなものは壊れてしまえばいい。
いや、こんな状態で、俺はいいのか? 幸せになれるのか? 俺はいったい、どうすればいいんだ?
俺は……ただ、吉田佳奈の笑顔が見たい。本物の笑顔が見たい。
「俺、どうしたらいい?」
情けない問いかけに、吉田佳奈は黙って首を振る。
ほっといてほしい、ということか。
そうだよな、俺、昨日、告ったんだった。
気がない以上は、つきまとわれたら逆に迷惑だよな。
最初からわかっていたことだけど、言葉もなく、俺はふられたわけか。
拒絶されているのか。
俺は、吉田佳奈に背を向ける。
全部、終わった。

やがて、ちょうどいい具合に夏休みがやってきた。
俺は遊んで遊んで遊びまくった。
仲間とふざけているときは、あの日のことを思い出さずに済んだ。
永遠に夏休みが続けばいいと思った。
騒いで遊んでバイトして疲れ果てて寝るだけの日々。
仲間と海でナンパもしてみたし、バイト先で知り合った女の子とデートなんかもしてみた。
何もかも忘れたくて俺ははしゃぎまくって、女の子もすっごいのってくれて、めちゃくちゃ楽しいデートだった。
その女の子とキスをするときに、吉田佳奈の顔が浮かんで、俺はきつく目を閉じた。
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